日本の政治に大きな変動がおき、政権交代がなされました。これまで日本の公教育を枠付けてきた理念、制度、政策を大きく改善する機会が広がるものと思われます。
この間、日本の公教育は集権的な体制のもと、能力主義や市場原理主義による差別と選別、競争と分断の教育が推し進められ、他方で、国家主義による教職員管理、さらには子どもへの統制が強化されてきました。そのため、教育現場にはさまざまな課題が山積するようになっています。
もとより、こうした教育をめぐる問題状況は教育政策だけの問題ではなく、近代公教育制度それ自体に深くかかわる構造的背景に由来する面もあるでしょう。さらに、近年、とくに顕著になってきたグローバリゼーションの進展により、この問題は一国だけの問題ではなく、相互につながりを持つようになり、世界規模の政治的経済的¬構造の影響を受けて、一層複雑な諸相を示すようになってきています。
しかし、日本の公教育を大きく転換することのできるこの時期に、近代公教育制度のもつ基本的な問題をみすえながらも、今日の公教育を少しでも改善し、子どもを含む市民が自立と共生に向かう力や関係性を獲得できるような学校教育や社会教育を実現したいと考えました。そのためには私たちは公教育を「教育の私事性」の再編としてではなく、人間存在の共同性に由来する「共同の子育て・教育」としてとらえます。
この公教育の理念を実現するため、地域教育計画や地域からの教育改革、そしてそれを可能とする国家的枠組みを理論的、実践的に研究し、政策提案として発信できる行動的な集まりとして「公教育計画学会」を創立することにします。
2009年9月27日
創立総会参加者一同