新政権による全国一斉学力・学習状況調査を抽出方式に改める政治判断を支持します。
子どもの学びを競争原理にさらし、序列化するような現状を転換していくために、さらに次のような制度・政策転換が必要です。
1、学力の問題点を把握するという学力調査の趣旨からして、全国学力・学習状況調査の抽出を40%もする必要があるか再度の見直しが必要です。さらなる経費節減や学校現場での教育課程への割り込みの軽減のためにも、統計学的に有意味な数%から10%程度の抽出調査に切り替えることを提案します。
2、全国学力・学習状況調査には、学力以外の生活・学習環境を調査する項目もあります。子どもたちの心的な負担も大きくプライバシーに係る項目もあり、また学力と生活・学習状況との相関関係はこれまでの各種調査・研究によってほぼ分っているので、生活・学習環境項目の廃止を提案します。
3、全国学力・学習状況調査の業務委託は、実態として寡占化が進んでいます。学力の調査内容が継続的に一定の調査会社に蓄積されることを防止するためにも、年度ごとに業務委託会社を変更することを提案します。
また、学力・学習状況調査には、大量の特定個人情報が含まれますから、データの不正利用や目的外利用が生じないよう、個人情報保護の観点からも、学力・学習状況調査に関するすべてのデータの取り扱いについて規則の詳細を明確にすべきです。具体的には、当該データに関して、誰がどのような規則に基づいて、問題及び質問紙の作成に当たり、また、それによって得たデータを集計、加工、複製、保管、廃棄、二次利用等することができることになっているのかいないのかを明確にするよう提案します。
公教育計画学会理事一同
2009年10月21日